私にとって、料理とは “つなぐ” ことです。
生産者の想いと自然の恵みを、料理に託してお客様へと手渡していく。
その瞬間に立ち会えることこそ、料理人としての喜びです。

これまで長くフランスで経験を積み、特にミシェル・トロワグロとともに厨房に立ち、
彼の感性と姿勢を肌で感じ取る経験は、今も料理人としての軸になっています。

かつてミシュルの父、ピエールが日本料理から大きな影響を受け、
自身の料理に取り込み唯一無二の料理を確立したように、
今回はトロワグロの料理・教えを、日本という土地、日本の食文化、日本の時間感覚に深く入り込み、
自分自身の視点で、まったく新しいかたちの料理を模索しています。

それは、ジャンルにとらわれず、素材の声をよりクリアに引き出すこと。
余白や間を大切にし、小麦ではなく、日本人としてお米に注目したい。
グルテンフリーなど現代的な感覚も柔軟に取り入れていきます。

わかりやすく、シンプルで、心に響く料理。
そのすべては、お客様とともに笑顔で分かち合う、
“ひとときの円” を描くためにあります。